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十五歳 vol.3

怪我から回復したジョーを、南部は国際科学技術庁内にある学校に通わせた。
市街にある普通の学校に行かせたかったが、万が一を考えて安全が確保できるところを選択したのである。
関係者の子弟のために作られた学校であったから、生徒のなかには訳ありの子供も少なくなく、教師たちもそういう子供の扱いに長けていた。
通いだした当初は、特に問題も起こすこともなく、運動神経がいいから何かスポーツをやらせてみてはどうか、と担任の教師が打診してきたこともある。
しかし、程なくジョーは学校をサボり始めた。
街で補導されたことも一度や二度ではない。
「学校で嫌なことでもあったのかね?」
何度目かの補導ののち、威圧的な言い方にならないよう気をつけながら、南部はジョーに訊いた。担任は、いじめとか、そういったことはないはずだと言っていたが、わかったものではない。
「ないよ」
ジョーの答えは素っ気なかった。
「じゃあ何で学校にいきたくないんだ?友達と喧嘩でもしたのか?」
「友達とはもう喧嘩できないよ。アイツらみんな島にいるんだから」
南部は言葉に詰まった。子供は順応するのが早いとはいうが、だからといって過去を忘れ去ったわけではないのだ。
ジョーが言うには、同級生や先生が嫌な訳ではないらしい。
「じゃあ何で、学校に行こうとしないんだい?」
ジョーは、キッと顔を上げた。
「学校の勉強なんかしたって、パパとママの仇を討てない!言ったじゃないか、一緒に仇を討とうって。博士は天才なんだろ?だったら教えてよ!どうやったら仇が討てるのか!俺はギャラクターをやっつけたいんだ!」
南欧人らしからぬ水色の瞳に殺気を漲らせ、小さな体を震わせてジョーは叫んだ。
南部は静かに言った。
「ジョー、仇を討つ方法は、教えてあげられないのだよ。私にもわからないのだ」
「え?」
ジョーは驚いて南部を見た。
「ギャラクターは、とても大きな組織なんだ。国際科学技術庁より大きいかも知れない」
「国際科学技術庁より大きいの?」
ジョーは目を見開いた。
ああ、と南部は大きく頷いた。
「どうやったら奴等と戦えるか、よく考えないといけない。負けるわけにはいかないからだ。わかるね?我々は勝たないといけないのだ、何としても」
ジョーは頷いた。
「東洋にはね、彼(てき)を知り己を知れば、百戦するもまた殆(あや)うからず、という言葉がある。戦うには、まず相手のことを知らなくてはならないということだ」
ジョーは食い入るように話に聞き入っていた。
「今はギャラクターがどういう組織なのかを調べているところなんだ。戦うための準備もしている。それが済んでからだ、ギャラクターと戦うのは」
「その時は、俺がギャラクターと戦うっ!俺、ピストルの撃ち方だって知っているよ!パパが教えてくれたんだ」
ジョーは目を輝かせた。これほど生き生きとした様子のジョーを見るのは初めてだった。
「ピストルが撃てるだけじゃダメだな。そう、空手や柔道、カンフーなんかも出来ないといけないね。それだけじゃない。機械も使えないといけないし、科学的な知識だって必要なんだよ。君に出来るかな?」
出来る、とジョーは言い切った。
「俺は、この手で、パパとママの仇を討つんだ。その為なら何でもする」
「じゃあ、サボらずに勉強するんだ。わかったかい?」
「うん…勉強もするよ」
多少尻込みするところは、年相応の子供らしかった。
「よし、男と男の約束だぞ」
二人は改めて誓いの握手を交わした。
ジョーの手は、初めて仇討ちを誓った時よりも、一回り大きくなっていた。


続く。
博士とジョーの温泉コメディになるはずが、なぜか博士の子育て奮闘記になってる…。こんなはずでは(;_;)
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