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十五歳 vol.4

南部による懸命の説得の甲斐もあり、それからは補導されることもなく、ジョーは学校に通った。
しかし、結局すぐに、ジョーは学校にいかなくなった。彼の並外れた運動能力を認めた南部が、学校で教える通常の教育プログラムとは異なるカリキュラムの適用を決めたのである。


ジョーは、さほど学校に未練は無いようだった。
少しはクラスメイトとも仲良くなっていたのか、お別れ会では女の子たちからプレゼントを貰うという一幕もあったが、悲しげな様子はなかった。


ジョーに適用されたプログラムは、南部が考案した特殊工作員養成プログラムであり、ジョーが子供では初めての適用事例となった。
履修内容は、地政学、文化人類学等の文系分野から、物理学、天文学、人間工学、生物学等の理系分野まで多岐に渡ったが、ジョーが夢中になったのは、実技、特に体術や戦闘訓練だった。
その様子に、南部は自分の目論見が外れたことを悟った。
ジョーの素質を認め、特殊なプログラムを適用したとはいえ、
それは、具体的な目標があったほうが前向きに生きられるだろうとの配慮からであった。様々な分野の学問に触れるなかで興味をもった方面に進んでくれることを狙っていたのであり、、決してジョーを特殊工作員に仕立てあげたかったわけではなかった。
そもそも、対ギャラクターの要員は、戦闘要員だけいればいいというものではなく、あらゆる分野の専門家が必要なため、どんな分野に進んだとしても貢献は出来るのである。
しかしジョーは南部の期待とは裏腹に、特殊工作員としての身体訓練にのめり込んでいく。
健康な男の子らしいとも言えるかも知れないが、ジョーが扱うものはオモチャではなく、本物の刀や銃であり、本来なら子供が手にするようなものではない。
ナイフやライフルを構え、猛禽類のような瞳で彼方を見据えるジョーの姿に、南部はいつしか後悔の念を抱くようになった。
仮にも保護者でありながら、自分は、幼い子供に刃を握らせ、人を殺せと教えてしまったのだろうか、と。


学校と縁遠くなってしまった代わりに、街にでて交遊関係を持つことを南部は黙認した。
十代になり、背が伸び骨格が整ってきたことで子供の頃の面影が薄れ、見知った人間に見咎められる心配がなくなってきたことや、訓練の甲斐もあり、多少のトラブルなら自分で解決できる程度の技量を身に付けたからだった。
何よりも、世間を見聞することで、両親の復讐以外の人生を見つけて欲しかった。
だから、ジョーがカーレーサーになりたいと言ってきたときには、心底安堵したが、その思いは次の言葉で消えた。
「ギャラクターを叩き潰したら、な」
街のチンピラなら逃げ出しそうなドスの効いた声でジョーは言った。いつしか声変わりが終わり、大人の声になっていた。


子育ては難しい。
南部はため息をついた。
何とか十五歳まで育て上げたが、この先どうしたらよいのか。
このまま訓練を続けるか、無理にでも止めさせるか。
本人の意思ははっきりしている。かといって、このままでいいとは思えない。
今ならまだ、年相応の普通の暮らしに戻すことも出来るだろう。カーレーサーになりたいなら、経済的な支援も可能だ。

距離を置きすぎたか、とも思う。
医者と患者として接してしまったが、親と子のように接するべきではなかったのか。

もう手遅れかも知れないが、試してみる価値はある。


続く。

次回からやっと温泉コメディになります\(^o^)/
ただし、そろそろリアル仕事が忙しくなるので次回更新はいつになるかな~(^^;
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